9月1日(水)久しぶりに子どもたちの元気な声が学校に響き渡りました。大きな荷物(夏休みに作った作品)を抱え、「夏休み、楽しかった」と笑顔で登校してくる子どもたちの顔を見て、少しほっとしているところです。コロナウィルス感染症予防対策のため、2学期の始業式をmeetで行いました。
  
    
 
 42日間の長かった夏休みも終わり、今日から2学期がスタートします。
 夏休みは充実していましたか。野球やサッカー、タグラグビー・陸上・バトンなどのスポーツに一生懸命取り組んだ人、工作や絵、習字、作文など作品づくりに力を注いだ人、たくさん本を読んだ人、家族との充実した時間を過ごした人、夏休みにしかできない経験をした人、中にはのんびりしすぎて早寝早起きの習慣がくずれてしまった人もいるかもしれません。
 けれども今日、校門でみなさんの元気なあいさつを聞いてとっても安心しました。さて、2学期の始まりにあたり、みなさんに3つの重要なお話をします。1つはコロナウィルス感染症についてです。毎日のようにニュースでコロナウィルス感染症の新規感染者数、重症者の数、病院に受け入れてもらうことができずに自宅待機をしている人の数などが発表されています。
 みなさんは、日本では今どのような状況になっているか、知っていますか?
 最近では1日2万人を超える人が毎日コロナウィルスに感染しています。今や東京や大阪などの大都市だけでなく、奈良県内でも感染が広がっていて、県内でも1日200人近くの人が新たに感染しています。第1波・第2波では、ウィルスは県外から持ち込まれることが多かったのですが、今は県内での感染が大多数を占めています。昨年度は約3ヶ月間休校となりましたが、その時よりも感染者が多く、驚くような増え方です。今、大都市では救急車を呼んでも、受け入れてもらえる病院を探すのに何時間もかかるそうです。何時間かかっても受け入れてもらえるのは、まだラッキーな方で受け入れ先の病院が見つからずに自宅療養を余儀なくされ、そのために自宅で容体が急変して亡くなった人もたくさんいます。現在、緊急事態宣言は、9月12日までの期間、21都府県に発令されています。
 奈良県には緊急事態宣言が出ていないからといって安心してはいけません。 奈良県でも感染者の急増に伴い、現在、入院・入所までにかなりの時間を要するようになりました。現在、自宅療養者は700人を超えているそうです。さらに最近はデルタ株の影響で、10代と10歳以下子どもへの感染も増えてきています。以前は「子どもは感染しにくい」とか「子どもは感染しても無症状が多い」とか言われていましたが、最近は、熱が出たり、けいれんがおこったり等の症状がでたり、重症化することもあると言われています。
 このような状況の中で2学期が始まりました。みなさんもニュースを見て知っている人も多いと思いますが、この夏は梅雨のように雨が多かったと思います。一部の地域では、豪雨で川が氾濫して、土砂くずれがおこったり、家も畑もすべて水につかったりと非常事態となりました。決して忘れてはいけないのは、豪雨災害と同じように、今は日本中がコロナウィルスによる非常事態であるということです。つまり何を差し置いても命を守ることが第一なのです。
 だからこそ、今まで以上に感染対策をより一層強化しないとみなさんの命を守ることはできません。「今日だけなら大丈夫」「自分だけは大丈夫」と決して思わないでください。将来、完全にコロナがなくなる日はこないかもしれません。それならば、私たちはコロナとともに生きていく覚悟をしなければならないと思います。
 若い皆さんには、あきらめばかりでなく、何ができるかということを考えてほしいと思います。不平・不満を言うだけでなく、どうしたら楽しく生活できるかということを担任の先生と一緒に考えてほしいです。
 
 2つ目は東京オリンピック・パラリンピックからいろいろなことをみんなで学んでほしいと思っています。
 まず、オリンピック直前のドタバタ劇。
 「こども時代の同級生に対する暴力やいじめ自慢」ともとれる発言をしたり、民族の虐殺を笑いのネタにしていた人たちが開会式のセレモニーに関わっていたことがわかり、直前になって次々に辞任することとなりました。「それは過去のことだから」ではすまされないのです。いじめで人の心をもてあそぶ人たちが人権や平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックを担当することは世界中の人が許せなかったのです。
 またコロナ禍で感染拡大が続く中、本当にオリンピックを開催していいのか、どうか、国民の意見が2分する中で始まった東京オリンピック・パラリンピックでしたが、いざ始まってみると、すばらしい戦いがたくさんあり、多くの人たちが選手たちの頑張りを心から応援したのではないでしょうか。
 最強中国を破り日本卓球界悲願の金メダルをとった混合ダブルス水谷隼・伊藤美誠ペアや銅メダルを獲得したバドミントン渡辺・東野ペア。追い込まれても追い込まれてもあきらめずに攻め続けた2人の姿に感動しました。
 また北京五輪では決勝までの2日間で3試合を1人で投げ抜き金メダルに貢献した上野投手。その後、ソフトボールは五輪種目から外れ、13年の月日を経て再び東京五輪にて金メダルをとることができました。39歳となった上野投手は、再びマウンドに立ち、ベテランと若手の融合したチームは、『あきらめなければ夢はかなう』ということを世界中の人に見せてくれました。
 その他にもたくさん感動した場面がありました。スケートボード女子パークで大技に失敗した世界ランキング1位の岡本みすぐ選手は金メダルをめざし、果敢に攻めましたが、転倒し4位になりました。その岡本選手を海外の選手たちが駆け寄って抱え上げ健闘をたたえた場面や男子板飛び込み6度目の出場となった40歳の寺内健選手が最後の演技を終えた後に、各国の選手たちがスタンディングオベーションで、今までの功績をたたえた光景には涙が出そうになりました。本当にたくさんのドラマがありました。
 いまパラリンピックが行われています。パラリンピックは世界最高峰の大会としてタイムやメダル争いをするだけの場ではありません。障害だけでなく他者との違いを認め尊重し合いながら、共に生き生きと暮らす社会の実現のきっかけにもなりうる大会だと思います。「失ったものを数えるな。残されたものを最大限にいかせ」「多様性を認め合おう」。そんなパラリンピックの精神を象徴したようなシーンがたくさん見られることと思います。皆さんが生きている間に、また再び日本でオリンピック・パラリンピックが開催される可能性は低いと思います。たとえ障害を持っていてもそれをものともせず、立ち向かい一生懸命生きる選手の姿をみて、一人ひとりが何かを感じてもらえればと思います。みなさんもぜひ自分自身の目標を見つけて、挑戦してほしいです。できるまでやる挑戦が、みんなを「なりたい自分」にしてくれるはずです。
 
 さて、3つ目はみなさんに大事にしてほしいことを話します。 
 今日、久しぶりに小学校の校門をくぐったときに、何か気がつきましたか?今年の夏も前半は「猛暑」と言われるとても暑い夏でした。その夏の暑さにも負けずきれいに咲いているプランターの花は、ボランティアで水やりをしてくれた人たちのおかげです。ボランティアを申し出てくれた人、本当にありがとう。また、ろうかの網戸がきれいになっているのは用務の田中さんのおかげです。みんなが2学期を気持ちよく始めることができるように、夏休みの間にきれいに洗ってくれました。感謝の気持ちを伝えましょう。
 また給食室の調理員さんたちも、調理場や食器をピカピカにして、明日から始まる給食の準備を整えてくれています。
 先生たちも、楽しく分かりやすい授業をするための準備や、運動会・修学旅行・遠足・野外活動などの行事の準備をしてくれました。自分を取り巻くすべての人に感謝できる人になってください。
 感謝の気持ちを伝える1番の方法は「あいさつ」です。
 1学期に引き続き、ぜひ「あいさつ」を大切にしていきましょう。
 皆さんが学級で話し合ってくれた「あいさつ標語」も夏休みの間に、先生方が階段に貼ってくれています。
 みなさん一人ひとりのさわやかな返事や元気なあいさつが、家庭を明るくしたり、柳本小学校だけでなく地域全体を元気な姿にしてくれます。みんなでがんばりましょう。
 
このあと、「世界がかぜをひいたから」(ユーチューブ視聴)というお話を聞いてもらいました。ぜひご覧下さい。
 
  youtu.be/SNk5flfMiKo (世界がかぜをひいたから)
 
  TBS昼の情報番組『ひるおび!』(毎週月~金 10:25~放送中)などでおなじみの江藤愛TBSアナウンサーが、絵本「せかいがかぜをひいたから」を朗読した読み聞かせ動画を8月14日(金)からTBS公式YouTubeチャンネル「YouTuboo」にて無料公開しています。
    絵本「せかいがかぜをひいたから」の作者は産婦人科医の高橋しづこさんです。この絵本では、世界中で拡大している新型コロナウイルス感染に対し、現場にいる医療従事者として、子どもたちに「自分を大事にすること」と「思いやりを忘れないこと」を「2つのおねがい」として提案されています。